私は博士(理学)の学位を取得してから企業に就職し、企業研究者として働いています。就活では多数の面接を経験しましたが、内定した企業とそうでなかった企業がありました。働いてみたからこそ分かってきた、面接の勘所について振り返ります。
面接官に迎合することは求められていない
多くの就活生が陥りがちな誤解の一つに、面接官に迎合することが成功への近道だと考えることがあります。しかし、面接官の意見に流されて自分の意見を抑えることは、決して求められていることではありません。面接は、自分の考えや意見を堂々と表現する場であり、「こう言ったらダメなのでは」と感じる必要はありません。面接官は、あなたがどのように考え、どのような価値観を持っているのかを知りたいと考えています。ですから、意見を発することを恐れず、自信を持って自分の考えを伝えることが大切です。
ありきたりな発言は加点ゼロ減点ゼロ、具体性が必要
面接官は、数多くの就活生と対話しています。そのため、ありきたりな発言は深く掘り下げられることもなく、ただ「ふーん」で終わってしまうことが多いです。例えば、「チームで協力して目標を達成しました」というような一般的なエピソードは、多くの人が語る内容です。もちろん、こうした発言が全く意味をなさないわけではありませんが、加点も減点もされない、ゼロ評価に終わってしまう可能性が高いのです。
特別な経験がある人は積極的に話題に活用すればいいですが、そうでない人も多いです。どうしてもありきたりな発言になることも仕方ありませんが、具体性を意識することが大切です。面接官は、あなたの発言に対して深く聞き込んでくることが考えられます。その時のあなたの行動やその裏にある考え方を知りたいわけです。具体的な話やその時に考えたことを話せるように準備するとよいでしょう。
勉学・研究に身を投じたでよい
大学生活において、勉学や研究に身を投じることは、学生としての本望であり、誇るべき姿勢です。就職活動においても、自ら進んで学び続ける姿勢は非常に重要です。面接官に対して、自分がどのようなテーマで学び、どのような成果を上げたのかをアピールすることは、あなたの意欲や努力を伝える手段となります。特に、自らの興味や関心に基づいて主体的に学んできた経験は、輝かしいものとして評価されるでしょう。
変に隠す必要はない
面接において、自分の本音や考えを隠す必要はありません。志望順位などについても、論理的に説明できるのであればそれで問題ありません。面接官は、あなたがどのように考え、どのような理由でその企業を志望しているのかを知りたいと考えています。変に隠すことなく、素直な気持ちで対話することが信頼感を築く一歩となります。
軸を持った意見がささる
面接官に対して、自分の意見をしっかりと持ち、それを明確に伝えることが大切です。面接官は、あなたがどのように考えて生きてきたのか、その背後にある軸や価値観に興味を持ちます。軸を持っている意見は、面接官に対して印象を残すことができ、あなたの個性や独自性をアピールする力となります。一方で、軸がぶれていると不安定な発言になり、面接官に不安感を与えることになります。自分自身の価値観や目標を再確認し、それを基にした意見を持つことが重要です。
就職したから分かる軸の大事さ
就職後に気付くことの一つに、企業が求める人材像についての理解があります。企業は、言われたことを忠実にこなすだけの人材ではなく、自分で考え、行動し、切り拓いていく力を持つ人材を求めています。業務においても、あなたが何を目指し、どう考えて行動するのかが常に問われることになります。「あなたの意見は何?」「私はこう考えるけど、あなたはどう考えるのか?」といった問いかけが頻繁に行われます。軸がないと判断の組み立てが難しくなり、いつまでも前に進むことができません。だからこそ、自分の考えや目標をしっかりと持つことが重要です。
過去のあなたの判断の時に何を考えたのか、棚卸しをしてみるとよいです。例えば、大学入学時の学科選択、サークル・部活の選択、修士進学、博士進学といった重要な選択があります。特に博士課程進学者の場合、修士で就職するのと比較したときになぜ博士を選んだのか、その背景にある思考や価値観を振り返ってみましょう。各選択には、あなたの軸を構成する生き方があるはずです。たとえ消極的な理由であっても、それらを全て出して整理することで、自分の軸を明確にする手助けになります。
このように、過去の選択や判断を振り返ることで、自分の価値観や目標を再確認し、それを基にした意見を持つことができます。就職後も自分の軸を持ち続けることが、業務においても成功への鍵となるのです。
結論
面接は、自分の価値観や意見を表現する場であり、単に迎合するだけでは真の評価には繋がりません。ありきたりな発言は意味をなさず、軸を持った意見こそが面接官に響くものです。また、自分の考えを隠さずに伝えることが信頼感を築く鍵となります。大学生活において培った勉学や研究への姿勢は、輝かしいものとしてアピールするべきです。最終的に、就職後も軸を持ち、自分で考え行動できる人材として成長することが求められます。面接においても、日々の業務においても、自分の軸を持ち続けることが、成功への第一歩です。
コメント